2016年7月29日金曜日

南洋理工大学(NTU)の大学改革事例

韓国の大学の紹介よりも、南洋理工大学(NTU)の事例の分析が興味深い。
やはりこれ具合の断行無くして、大学は変わらないからである。
日本の大学では、とうてい無理であると知りつつも。



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「ガラパゴス危機」に閉じ込められた韓国の大学

2016年07月10日12時16分
[ⓒ 中央SUNDAY/中央日報日本語版]

  シンガポール西端の広大な緑地帯にある南洋理工大学(NTU)は1991年に開校した新生大学だ。だが英国の大学評価機関QSは昨年の世界大学評価でNTUを13位、今年はアジア圏の評価で3位と評価した。 

  NTU急成長の背景には外国系学長の招聘を通じた果敢な大学改革がある。NTUは2007年にスウェーデン出身でノーベル化学委員会代表を歴任した生化学者であるアンダーソン博士を副学長として迎えた。2011年には彼を学長に引き上げた。アンダーソン学長は就任後、研究成果が低い教授30%を切り、教授職の定年保障審査を米国より厳格なものに変えた。世界的な学者も大挙誘致した。NTUは現在教授陣の70%以上、大学院修士・博士の学生の60%が外国人だ。講義室の風景も急変している。アンダーソン学長は最近の外信インタビューで、「今後5年以内に大学講義の半分を『反転授業』で満たすだろう」と話した。反転授業と学生が動画で講義をあらかじめ聞いた上で、講義室では討論で授業を進めることをいう。NTUだけではない。シンガポール国立大学は昨年QSの世界大学ランキングで12位に上がった。アジア圏の評価では2014年から今年まで3年連続で1位の座を守っている。人口540万人にすぎない都市国家のシンガポールが成し遂げた成果だ。

  これに対し韓国の大学は「ガラパゴス」となる危機に置かれている。2015年基準でソウル大学が36位、KAISTが43位、浦項(ポハン)工科大学が87位と比較的善戦しているが、都市国家水準のシンガポールと香港に追いつくにも力不足だ。特に高麗(コリョ)大学と延世(ヨンセ)大学など上位圏の私立大学はいずれも100位圏外だ。だが韓国の教育当局と大学の対応はまだ「井の中の蛙」水準だ。米ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)など世界の名門大学が数年前から大規模な公開オンライン講座(MOOC)に参入して「国境のない講義室」の時代が開かれ、ミネルバスクールズなど未来型大学が続出している現実と比較される。

  韓国の大学はすべて国内用大学構造調整にだけ埋没している。教育部が5月に選定・発表したプライム事業(産業連係教育活性化先導大学事業)がそれだ。教育専門家らはプライム事業が韓国企業の短期的需要にだけ応じ拙速・卓上行政をしていると批判する。実際にプライム事業に選ばれた21大学のうち首都圏は5校、残り16校は大邱(テグ)・慶尚北道(キョンサンブクド)圏、東南圏、忠清(チュンチョン)圏、湖南(ホナム)圏、済州(チェジュ)・江原道(カンウォンド)圏の5つの圏域で分け合う形で配分された。さらに不良大学と判定された大学にも支援金が決定された。

  一部上位圏の私立大学は遅ればせながら変化のあがきを始めた。高麗大学は2018年に未来大学をスタートする計画だ。浦項工科大学は韓国の大学で初めてMOOCを単位に認定するなど未来教育を始めた。だが定員が減る人文・社会系の教授・学生らの反発が激しく計画通りに進められるかは不透明だ。ソウル大学環境大学院のチョン・サンイン教授は「韓国の高等教育政策は無知と社会主義的平等、ポピュリズムに埋没している。いまのように分け合う形ではなく選択と集中の投資がなされなければ韓国の大学は近い将来カオスに陥るだろう」と話している。(中央SUNDAY第487号) 

韓国大学のアジアでの位置 朝鮮日報社の大学ランキング(馬越先生のコラム)

馬越先生のコラムを紹介したい--韓国の大学では、銘柄に無関心でいられないようだ。

https://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/arcadia/0427.html

大変に教務深いので、一読を勧めたい。

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アルカディア学報(教育学術新聞掲載コラム)


No.427
韓国大学のアジアでの位置
朝鮮日報社の大学ランキング

客員研究員 馬越 徹(桜美林大学大学院教授・高等教育研究所長)


 【韓国からの発信】
 タイムズ紙の世界大学ランキングにおいてアジアの大学が躍進していることを本紙「アルカディア学報270」(07年1月24日付)に紹介したのは約4年前である。その後もアジアの大学の躍進は続いているが、09年度からアジアの大学のみを対象にした大学ランキングが登場した。これは、韓国の新聞界を代表する朝鮮日報社がイギリスのQS社(クアクアレリ・シモンズ)と組んで、09年度から共同実施しているものである。本稿では10年5月末に発表された第2回目の結果について、その概略を紹介したい。
 なぜ韓国の新聞社(朝鮮日報)がアジアの大学ランキング作成に乗り出したかについては、次のような背景が考えられる。もともと韓国人は大学の序列意識に敏感であり、同業の中央日報社が94年以来実施してきた国内大学のランキングは『全国大学順位』として刊行され、一大ベストセラーとなり好評を博してきた。また最近では韓国のみならずアジアの各国とも「世界水準(ワールドクラス)」を基本戦略とする大学改革を進めているため、大学人は世界の大学ランキングを意識せざるを得なくなってきている。さらに韓国では大学ランキング作りを自国が主導することにより、韓国をアジアの学術大国に押し上げ、ひいてはワールドクラスの大学を創出しようとする大学関係者の熱意があったと聞く。また中国の上海交通大学(高等教育研究所)がタイムズ紙の向こうをはって「世界大学ランキング」作りに参入して成果をあげていることも、韓国の高等教育関係者を刺激してきた。そこで朝鮮日報社は数年前から「アジアの大学」をターゲットにしたランキング作りの戦略を練ってきた。タイムズ紙や上海交通大学のような世界の大学ランキングを狙うのではなく、アジアの大学に特化したランキングを開発することを通じて、大学ランキングのリージョナル・ハブを目指すことに狙いを定めたのである。
 【タイムズ方式を踏襲】
 当初、ランキング作成チームは、アメリカのUSニュース&ワールド・レポートやタイムズの大学ランキングを参考に、アジアの大学を評価するに相応しい方法の開発に努力したようである。しかし結局はQS社と組んで調査を実施することになったため、タイムズ方式に近い指標を使うことになった。指標は4領域(①研究力=60%、②教育力=20%、③就職力=10%、④国際化力=10%)から成り、①の半分(30%)はアジアの大学の研究に詳しい世界の同僚研究者(4546人)によるピアレビュー評価、残り半分(30%)は教員一人当たりの論文数とその論文の被引用数、②は教員一人当たりの学生数、③はアジアの大学卒業生を採用した企業人(1738人)による卒業生の評判、④は外国人教員数(2.5%)と留学生数(送り出しを含む:7.5%)、を内容とするものであった。このような調査指標はタイムズ方式とほぼ同じであるが、細かく見るとピアレビュー評価比率(①の30%分)と外国人教員比率(④の2.5%分)は、朝鮮日報―QS調査の方がタイムズ調査の比率よりやや低く設定されている。
 この調査に参加したのはアジア11カ国・地域(韓国、中国〈香港含む〉、日本、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム)で、アジアの主要国を網羅している。参加した大学は448校、そのうち韓国からの参加大学は80校であった。調査結果は様々な角度から分析され、上位200校までウェブサイト(http://www.topuniversities.com/university-rankings/asian-university-rankings)にも公開されているが、主要な評価結果は、(1)総合順位、(2)研究者によるピアレビュー順位、(3)学問分野別五領域の順位(人文科学、生命・医科学、自然科学、社会科学、IT・工学)の3点に集約できる。
 【総合順位にみるランキング上位校】
 まず総合順位のトップ10大学についてみると、総点(100~94.2)は接近しているが、香港大学(1位)、香港科学技術大学(2位)、国立シンガポール大学(3位)、中文大学(4位)、東京大学(5位)、ソウル大学(6位)、大阪大学(7位)、京都大学(8位)、東北大学(9位)、名古屋大学(10位)の順になっており、香港とシンガポールの大学が上位を独占し、それに日本(東京大学)と韓国(ソウル大学)の大学が続いている。ただし、研究者のピアレビューによるランキングでは、東京大学が1位を占め、総合順位でトップ10に参入できなかった北京大学(3位)、清華大学(6位)、台湾大学(8位)がトップ10入りを果たしていることを付言しておく。
 総合順位による実力校の範囲をトップ30大学(100~79.2点)まで広げれば、最も多いのは日本(11校)で、韓国(5校)、中国(5校)、香港(5校)が続き、日本、中国、韓国の東アジア3国の大学で26校(約87%)を占めている。これらに続くのはシンガポール(2校)、タイ(1校)、台湾(1校)である。なお、シンガポール、タイを除く南アジアと東南アジアの大学は現状では下位に甘んじているが、トップ50大学まで範囲を広げれば、インド(3校)、インドネシア(1校)、マレーシア(1校)等の大学が顔を出している。
 【韓国大学のアジアでの位置】
 「アジアの大学ランキング」を企画した当の韓国では、第2回目のランキングをどのように見ているのであろうか。李明博政権下において「世界水準の研究中心大学の育成(ワールドクラス大学育成事業:WCU)」を標榜している韓国では、特に今回の調査を主導したメディアは、第1回(09年)調査に比べて多くの大学が総合順位を上げており、これを「ランキング効果」として評価をしているようである。国内トップのソウル大学が総合順位で昨年より2ランクアップして8位から6位となり、専門分野別評価においても、人文科学6位、生命・医科学四位、自然科学5位、社会科学4位、IT・工学6位の順位を確保していることに一定の評価を与えている。しかしながら本調査に参加した韓国のトップ10大学のうち、アジアのトップ30大学に名を連ねた大学が5校に留まったことには必ずしも満足していないようである。特に、表にみられる韓国のトップ10大学のうち、国家が特別な財政措置を講じてきたソウル大学および韓国科学技術院(KAIST)以外はすべて私立大学(浦項工科大学以外はすべてソウルの私大)であり、地方(道)の基幹大学である国立大学が軒並み韓国のトップ10大学入りを果たせないでいることに対しては批判的である。ちなみに韓国の地方国立大学のうち、アジアのトップ100大学入りを果たしたのは釜山大学(71位)、慶北大学(84位)、全北大学(92位)、忠南大学(99位)の4大学にすぎない。韓国政府は現在、国立大学法人化やWCU事業を通じて国立大学の強化策に乗り出しており、昨年から始まった朝鮮日報社のアジアの大学ランキング事業を契機に、韓国大学のさらなる飛躍を期しているようである。

2016年7月24日日曜日

世界大学ランキング2015-2016

世界大学ランキング2015-2016

◆世界大学ランキング 総合1~10位
1位 ハーバード大学
2位 マサチューセッツ工科大学(MIT)
3位 スタンフォード大学
4位 ケンブリッジ大学
5位 オックスフォード大学
6位 カリフォルニア大学バークレー校
7位 プリンストン大学
8位 エール大学
9位 コロンビア大学
10位 カリフォルニア工科大学(CALTECH)



アジア大学ランキングTOP100【2016年】
順位大学名
1シンガポール国立大学(NUS)シンガポール
2南洋理工大学シンガポール
2北京大学中国
4香港大学香港
5清華大学中国
6香港科技大学香港
7東京大学日本
8浦項工科大学校(POSTECH)韓国
9ソウル大学韓国
10韓国科学技術院(KAIST)韓国
11京都大学日本
12成均館大学校(SKKU)韓国
13香港中文大学香港
14中国科学技術大学中国
15国立台湾大学台湾
16香港城市大学香港
17ヘブライ大学イスラエル
17高麗大学校韓国
19復旦大学中国
20テルアビブ大学イスラエル
21コチ大学トルコ
22香港理工大学香港
23東北大学日本
24東京工業大学日本
25浙江大学中国
26キング・アブドゥルアズィーズ大学サウジアラビア
27インド理科大学院インド
28国立台湾科技大学台湾
29南京大学中国
30大阪大学日本
31国立交通大学台湾
32光州科学技術院韓国
32上海交通大学中国
34名古屋大学日本
35国立清華大学台湾
36イスラエル工科大学イスラエル
37延世大学校韓国
38Sabanci大学トルコ
39漢陽大学校韓国
40中山大学中国
41国立成功大学台湾
42慶熙大学校韓国
43IIT Bombayインド
44香港浸会大学香港
45ビルケント大学トルコ
46中国医薬大学台湾
46筑波大学日本
48九州大学日本
49北海道大学日本
50マカオ大学マカオ
51IIT Kharagpurインド
52Sharif工科大学イラン
52首都大学東京日本
52蔚山大学校韓国
55梨花女子大学校韓国
55武漢大学中国
57IUSTイラン
58天津大学中国
59東京医科歯科大学(TMDU)日本
60IIT Delhiインド
61Isfahan工科大学イラン
62IIT Madrasインド
63華東理工大学中国
64ボアズィチ大学トルコ
65IIT Roorkeeインド
66KFUPMサウジアラビア
67バル=イラン大学イスラエル
68華中科技大学中国
68国立台湾師範大学台湾
70中央大学校韓国
70国立陽明大学台湾
70マレーシア工科大学マレーシア
73広島大学日本
73国立中山大学台湾
75ハルビン工業大学中国
76アミール・キャビール工科大学イラン
77厦門大学中国
78私立東呉大学中国
79ネゲヴ・ベン=グリオン大学イスラエル
80IIT Guwahatiインド
80西安交通大学中国
82中国農業大学中国
83華東師範大学中国
84ベイルート・アメリカン大学レバノン
84Jadavpur大学インド
84釜山大学校韓国
87ハイファ大学イスラエル
88中国人民大学中国
89華南理工大学中国
90マヒドン大学タイ
91イスタンブル工科大学トルコ
92同済大学中国
93大連理工大学中国
94中東工科大学トルコ
94国立中央大学台湾
96キングサウード大学サウジアラビア
97東京農工大学日本
98モンクット王トンブリー工科大学タイ
99イスタンブル大学トルコ
99大阪市立大学日本