2026年7月13日月曜日

九州大学が国際卓越研究大学に選ばれなかった構造的理由

 本メモは文部科学省とは全く無縁で、同省の公式見解ではなく、あくまでも個人的で、独断的な見解である

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前提①東京大学が国際卓越研究大学審査保留から脱落した報道を受けての見解

前提②石橋九州大学総長+赤司次期総長体制における方向性の提言

前提③地域バランスを考えた戦略   

    東北:1校

    関東:1校

    関西:1校

    西日本:1校採択への道

前提④全九州の国立大学再編計画:カリフォルニア大学形式と同様に、九州所在のすべての国立大学を九州大学に統合し、各県に1校ずつ佐賀校・熊本校・長崎校・鹿児島校・宮崎校・大分校を設置する。戦後に開設された駅弁大学方式(東京大学を模倣したミニ・総合デパート式運営)との絶縁と再編、九州全域を一元的にコントロール・統括し、効率的・合理的に運用できる仕組みへの変換

前提⑤「国際卓越研究大学」枠ではなく、次に計画されている「 統合イノベーション戦略2026 」(令和8年7月14日制定、内閣府)に記載された「産業競争力強化研究に資する大学ファンド」(名称未定、仮題)への挑戦と研究分野強化


<参考記事>

17 の戦略分野を中心とする産業競争力強化に貢献する、新技術立国の核と なる新たな大学群の形成に向け、特定分野において特に高い研究力を有し高 度な経営を行う大学を認定し、当該分野における研究開発及び社会実装(研 究環境の整備を含む。)を中長期的に支援する新たな制度の創設を検討す る 。【 文、経】

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観点京都大学九州大学相対的な違い
研究規模・実績世界最高水準の研究力、ノーベル賞受賞者を多数輩出国内有数の研究大学だが、世界的研究実績では東大・京大に及ばない世界トップレベルとの距離
国際性・ネットワーク欧米・アジアを含む世界規模の研究ネットワーク東アジアとの連携が特に強いが、世界的展開では相対的に限定的国際展開の広がり
ブランド・認知度日本を代表する研究大学として世界的認知度が高い国内では高い評価を受ける総合大学国際的ブランド力
制度改革への波及効果日本全体の大学改革を牽引するモデルとして期待地域中核大学としての役割が大きい制度設計上の期待される役割
政策上の位置づけ世界トップレベル研究大学の形成を担う旗艦候補地域の研究・教育拠点として重要な役割を担う政策上の重点の違い


気になる点

1. 制度設計上の「役割の違い」

  • 京大は、文科省にとって 「日本の研究大学を世界トップレベルに押し上げるための“象徴的”」。

  • 九州大学は、 「九州・西日本ブロックの中核として、地域の高等教育・研究・医療・産業を支える“広域中核大学”」。

つまり、 制度設計では、京大のような世界トップレベル研究大学と、九州大学のような地域中核大学とで、期待される役割に違いがあると考えられる。

2. 研究力・国際性の「レベル差」ではなく「スケール差」

九州大学は、

  • 医学・工学・理学・エネルギー・海洋などで世界的に強い

  • アジア連携では非常に高い評価

しかし、国際卓越研究大学の審査は、 「世界ランキング上位10位台を現実的に狙えるか」 というスケール感。

その視点から見ると、

  • 京大:世界トップレベルを目指すことが政策目標

  • 九大:世界トップ100〜200の中核としては強いが、「旗艦」としてのスケールは一段下だとして評価

質の低さではなく、“ターゲットの違い”による選外。

3. 文科省の「大学ファンド」の政治的・象徴的設計

  • 10兆円ファンドは、 「日本にも世界トップ級研究大学がある」と示すための政治的・象徴的プロジェクト

  • その象徴として、 大学ファンドには、日本の研究力を国際的に示す象徴的な教育政策としての性格もあった

九州大学を入れると、

  • 地域バランスは良くなるが、

  • 「世界トップ10を狙う旗艦」というメッセージがボケる。

政治的・象徴的な“見せ方”の観点から、2校に絞られた。

4. 九州大学に対して文科省が期待している役割

国際卓越研究大学に入れなかったことは、「九州大学への期待が薄い」という意味ではないと判断される

むしろ文科省は、 

                                           九州ブロックの高等教育再編 

医療

③エネルギー・海洋・アジア連携                                    

の中核地域産業との連携拠点としての役割を、九州大学に強く期待していると考えられないだろうか。

つまり、 九州大学は「国際卓越大学」ではなく、「地域の研究・教育・産業連携を牽引する中核大学 として位置づけられていると、文部科学省の政策的戦略だと推測される可能性が高い。つまり、「

5.「九州大学の将来ビジョン」

もし九州大学が今後、

  • 研究の国際性をさらに拡大し

  • アジア+欧米の両方で強いネットワークを築き

  • 若手研究者の流動性と育成を強化し

  • 地域中核+世界研究拠点の二重構造を確立し、

  • 九州全体を一つの国立大学法人に統合し、例えば米国カリフォルニア大学方式に再編し、バークレー校やUCLAなどに匹敵する世界トップ級の大学への成長の礎を作るならば、

 確実なエビデンスはないものの、「統合イノベーション戦略2026 」(令和8年7月14日 制定、内閣府)に明記された、次世代の制度(ポスト大学ファンドなど)では、九州大学を第三の旗艦」として位置づける文部科学省戦略の可能性は十分あると考えて良いだろう。


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<参考記事>

「統合イノベーション戦略2026 」(令和8年7月14日 制定、内閣府)

5.産学官を結節するイノベーション・エコシステムの高度化 (1)産学連携の推進・世界で競い成長する大学の実現 (現状認識) 「科学とビジネスの近接化」が進展し、先端的な科学的知見の早期事業化が進 む中、ディープテック分野では企業単独で研究開発や人材確保を進めるのは困 難であり、大学の役割が一層重要となっている。他方、我が国の大学は、研究力 や人材育成、産学連携の規模において国際競争力の低下が指摘されている。こう した状況を踏まえ、産学官が連携し、高い研究力がありイノベーションの中核と なる大学群を形成することが求められている。 (特に重点を置くべき施策)      産学連携の過程で生まれた資金・人材・新たな知を、次の研究力の原資とし て活用し、大学の総合的な研究力を底上げするという好循環を実現するた め、産学共同研究等の支援を通じた産学連携の促進に加え、大学の経営力強 化を一体的に進める。【文、経】 各研究大学における、世界トップレベルの研究拠点や、研究成果の社会実装 に向けた産学官共創拠点等の形成を進め、大学の研究力と経営力の強化を促 進する。【文、経】 17 の戦略分野を中心とする産業競争力強化に貢献する、新技術立国の核と なる新たな大学群の形成に向け、特定分野において特に高い研究力を有し高 度な経営を行う大学を認定し、当該分野における研究開発及び社会実装(研 究環境の整備を含む。)を中長期的に支援する新たな制度の創設を検討す る 。【 文、経】 新しい産学連携の形として、産学が協力して設置・運営する学位の授与を行 う「契約学科」の取組を推進する。【経】 研究開発税制において、産業技術力強化法の一部を改正する法律(令和8年 法律第41号)による改正後の産業技術力強化法(平成12年法律第44号) に基づき、戦略的に重要な技術領域に係る企業の研究開発を促進する「戦略 技術領域型」、また、そのうち、特に高い研究力等を持つ認定研究拠点との 68 オープンイノベーションを促進する「大学拠点等強化類型」を活用し、研究 開発投資を促進する。【経、関係省庁】    J-PEAKS の採択大学において、研究力や経営力の強化を進めつつ、大学間 の連携も促進することで、多様な研究大学群の形成・強化を図る。【文】 大学、国研等が有するイノベーションの源泉である知と社会ニーズとのマッ チングの加速に向けて、産学官共同研究の推進や、研究者と産業界とのマッ チング、専門人材によるハンズオン支援を推進する。【文、経】 大学等発スタートアップが、研究開発等を通じて成長できるよう、スタート アップ・事業会社・大学等の新たなオープンイノベーションを支援する。【文】     大学等発スタートアップが官民からの多くの出資を得て持続的に成長でき るよう、民間資金の呼び水となる官民ファンドからの大学等発スタートアッ プへのフォローオン出資等を推進する。【文】 我が国のオープンイノベーションを促進すべく、今後のロールモデルとして 期待される先導性や独創性の高い取組について表彰等を実施する。【府】 「大学支援フォーラムPEAKS」において、産学官連携によるイノベーショ ンを支える大学経営人材の育成等を産学官で検討する。【府】 民間企業から地方公共団体への寄附を通じた大学・研究機関への研究資金の 確保の方法として、共同研究を行う際の留意事項を明確化したことも踏ま え、企業版ふるさと納税の更なる活用促進等を図る。【官房】

京都大学が国際卓越研究大学に選出された理由

 京都大学が選ばれた「決定的特徴」

文科省の審査資料・答申を構造化すると、京大の強みは次の5点に集約できよう。


世界トップレベルの研究力(特に自然科学)

  • ノーベル賞受賞者数:日本最多(13名)

  • 生命科学・化学・物理学・数学で世界的評価

  • 基礎研究の強さが突出

  • 「自由な学風」が研究者の独創性を支える

→ 文科省は「世界トップ10を狙える研究力」と評価。


独創的な研究文化(自由・自律・分散型)

京大の学風は、文科省の審査で特に高く評価された。

  • 「自由の学風」

  • 研究者主導の分散型研究組織

  • ボトムアップ型の研究テーマ形成

  • 学問の独立性を重視

→ 東大の「組織力」と対照的に、京大の“独創性の強さ”を高く評価。


国際的研究ネットワークの強さ

  • 海外大学との共同研究数:国内トップクラス

  • アジア・欧米の研究機関との連携が深い

  • 研究者の国際移動が活発

  • 英語論文の被引用数が高い

→ 文科省は「国際卓越大学の条件=国際共同研究の強さ」と明言。


大学院中心の研究大学モデルが確立

京都大学は学部よりも大学院・研究科の比重が大きい。

  • 大学院生比率が高い

  • 研究科の独立性が強い

  • 研究者養成の体系が成熟

  • 若手研究者の育成力が高い

→ 文科省は「大学院中心の研究大学」へとシフト済み。


研究成果の社会実装力(特に工学・生命科学)

  • iPS細胞研究

  • 触媒化学

  • AI・数理科学

  • 医工連携

  • ベンチャー創出(京大発ベンチャーは国内トップ級)

→ 「基礎研究 → 応用 → 社会実装」の流れが強い。

→世界のiPS研究ネットワークの中心に位置する、山中伸弥先生のiPS研究所(CiRA)の傑出した研究情報発信力に代表されるように、京都大学のいくつかの研究拠点が世界的レベルでネットワークの核となっている。



しかしながら、一つの懸念は、文系学部である。

今回にしても、


>>京都大学は、教授を頂点に准教授や助教らが連なる約1000の「小講座」(.研究室)を廃止して研究分野別の「デパートメント制」に移行し、その研究力を基盤とした「学位プログラム制」の導入に基づく新たな教育システムの構築する


教授を頂点に准教授や助教らが連なる約1000の「小講座」を解体し、研究領域ごとに約20に分けた大きな組織「デパートメント」に再編する。29年4月に全学的に移行する。


と言う。しかしながら、かつて文系学部の「小講座制から大講座制への」移行にしても、名目だけ小講座名を消滅させたが、実質的に何も変化なく、講座費運用や教育システム、教員人事まですべてに、今日まで小講座が機能してきた。彼らが言う「オレンジジュースを飲みたい👦が、なぜミックスジュースにしなくてはならないか❗️」 と。

これでは、国際卓越研究大学構想も、文系学部は理系学部が奪取してくる膨大な予算の少々をヌクヌクと吸い取るだけ。

彼らの呪文は「〜〜とあり、とありで、30年」。


追記]

科学技術振興機構によると、国際卓越研究大学への助成などに使用される10兆円規模の大学ファンドが2025年度、過去最高となる3,158億円の黒字を達成したと言う。

 海外株式や債券の運用が好調で、国際卓越研究大学に認定されている東北大学に169億円、東京科学大学に124億円が助成され、京都大学には約200億円程度が交付されるようだ。



2026年7月12日日曜日

40年までに私大を250~400校、入学定員を14万人程度減らす案

 財務省の資料によると、18歳人口は1989年の198万人をピークに、24年は6割弱まで減っている。一方で国公立大を含む大学数は1989年の499校から増え続け、2024年には813校に。学生10万人当たりの高等教育機関の数は他国と比べても特に多く、同省は大学数の適正化を訴える。


<分析>

2026年4月、財務省の財政制度等審議会において提示された、2040年までに私立大学を約250校削減し、学部定員を14万〜18万人程度削減するという提言は、日本の高等教育のあり方に大きな波紋を呼んでいる。

この提言の主なポイントと背景は以下の通り。


提言の背景と理由

 18歳人口の激減: 1992年に約205万人だった18歳人口は、2040年には約74万人まで減少すると推計されている。


 大学の過剰供給: 少子化が進む一方で、過去の規制緩和等により大学数は増加し続けました。現在、私立大学の5割以上が定員割れに陥っており、経営環境が極めて厳しくなっている。

 教育の質への疑問: 財務省の資料では、一部の定員割れ大学において「四則演算」や「be動詞の活用」といった義務教育レベルの内容が講義されている現状を指摘し、公的資金(私学助成金)の投資に見合う教育の質が確保されているか疑問視。


議論の焦点

 数値目標の是非: 財務省が「4割削減」という具体的な数値目標を初めて提示したことに対し、文部科学省側は「機械的に定員割れのみで判断するのではなく、地域産業や医療・福祉を支える大学の機能、分野や地域のバランスを考慮した再編が必要」と強調している。

 出口戦略: 単なる閉校ではなく、大学の円滑な撤退や合併、事業譲渡などを可能にする仕組み作りや、経営体力がある段階での退出を促す方策が検討されている。


 成長分野へのリバランス: AIや半導体など、将来的な成長が見込まれる分野や地域課題の解決に資する大学・学科へ重点的に支援を行い、教育の質と人材育成機能を維持する方向性が模索されている。


今後の展望

文部科学省も「高等教育の規模適正化は避けられない」との認識を示しており、今後は補助金の交付におけるメリハリを強めることで、実質的な大学の淘汰と再編が進むと考えられる。

私立大学250校削減の背景と財務省案


<今後の課題>

  • 大学設置および廃校の許認可権を有する文科省は、財務省と異なり、大学数削減を明言しないため、独自の政策が曖昧。

  • 地方大学の撤退後の地域対策がないために、その空白をいかにするのか。

  • 質保証基準が曖昧で、淘汰が市場任せ。難問であるが、その質保証分野への切り込みなくして、教育質が高く、さらに通学生たちの評価の高い大学を維持できない。

  • 国立大学の統合は箱だけで、機能統合が進まない。

改善策は、質保証の数値化・地域ブロック再編・国立大学の機能別再編・私学再編ファンドの創設。