2026年7月31日金曜日

赤司浩一次期九州大学総長への期待:九州大学は「日本最大級のエンダウメント」

赤司次期総長への期待

(1)九州大学の絶対的優位性:「アジアのイノベーション・ハブ」

九州大学独自のブランドと優位性は何か。それは唯一、日本国内において「アジアへの地理的近接性」であり、福岡がアジアのゲートウェイであることで、この点は東大や京大にはない。

 要点:九州大学が世界大学ランキング100位以内を実現するためには、単に研究費を増やすことではなく、「研究・医学・知財・産業・投資・人材・国際連携」が循環する大学経営システムを構築することが不可欠である。 その中核となるのが九大「OIPを中核にした研究・産業・財政を循環させるエコシステム」であり、これを大学全体の知的資産を循環させるプラットフォームへ発展させることによって、大学全体の研究・人材・知財を統合する“巨大エンジン”へ進化させることである。ただし、その成否を最終的に左右するのは、世界中の優秀な研究者と博士人材を引き寄せる「知的人材エコシステム」を形成できるかどうかにある。

 加えて、アジアに開かれた地理的・歴史的・産業的ネットワークを活用して、福岡という都市の国際性、九州の半導体・環境・医療産業、そして東アジアとの近接性を戦略的に結び付けることで、「アジアの知のゲートウェイ」という独自のブランドを確立することである。

(2)九州大学の現状分析

①外部資金等収益比率:37%(2019年28%→2023年37%)前倒し達成

②共同研究費受入額:34億円規模(2024)

③研究成果発スタートアップ累計:95社(国内屈指)

④QS世界大学ランキング:世界167位・国内7位(2025)

⑤Top10%論文数:国立大6位(2019–2023)

⑥外国人研究者比率:11.8%(目標10%を前倒し達成)

つまり九大は「伸びる構造」をすでに持っているものの、大きな課題は “加速させる仕組み” と強力なリーダーの下で、いかに成長戦略を設計するか。


3)特効薬1:大学の研究成果を「事業化ベース」で設計する(研究→事業の直結)

九大OIPはすでに

  • CXO人材900名が常時待機(全国から)

  • 研究者+経営者候補の二人三脚モデルを実施

これをさらに強化し、「研究プロジェクト=事業化候補」 として最初から設計する。

効果

  • 共同研究費の大型化(50億円目標を超える)

  • スタートアップ創出数の爆発的増加(50社→100社)

  • 世界大学ランキングの「産学連携」「研究収入」指標が急上昇

4)特効薬2:九大OIPを“アジア最大の大学VC”に進化させる

九大はすでに

  • 台湾ブランチ設置(世界市場を見据えた事業計画)

  • イノベーション・チャレンジ・ファンドを組成

これをさらに拡大し、「九大OIPファンド(100億円規模)」 を創設する。

効果

  • 研究成果のマネタイズ速度が加速

  • キャピタルゲイン・配当収入が大学財政を強化

  • 世界大学ランキングの「産学協働」「研究収入」指標が上昇

5)特効薬3:九大の強み分野を“世界トップ10分野”に集中投資する

九大は現在、QS分野別ランキングで、

  • Chemistry・Mining Engineeringの2分野が100位以内

これを「10分野を世界100位以内」(九大の2030目標) にするため、集中投資する。その候補分野はすでに準備ずみである。

そのために、文系学部が足を引っ張らないように、文系学部の底上げを図る、そのために、九大・熊本大学・長崎大学の文系3大学コンソーシアムを作り、アジアに関する文系イッシューであれば、ただちに九州大学関係者が全国版マスコミ対応をする。

主な投資対象(九大らしさ)

  • 脱炭素(DAC-U膜技術)

  • 移植医療・遺伝子解析・免疫療法の三本柱が高度に統合されてた造血幹細胞移植の症例数・治療成績・研究力が全国トップクラス。

  • 医療DX(自治体300万人データベース)

  • 海洋プラ汚染モデル(世界初)

効果

  • Top10%論文数・国際共著論文数が急増

  • 世界大学ランキングの研究力指標が跳ね上がる

  • 世界の九州大学への評価と期待度が向上する。

6)特効薬4:九大版「国際研究都市(伊都キャンパス)」を完成させる

九大はすでに

  • 医療系インキュベーション施設(エフラボ)を整備

これを赤司次期総長のリーダーシップで、「研究者・企業・自治体・スタートアップが常駐する国際研究都市」 へ進化させる。

効果

  • 国際研究者比率がさらに上昇(現在11.8%から30%へ)

  • 国際共著論文数が増加

  • QS/THEの国際性指標が上昇

7)特効薬5:九大基金(Endowment=大学が「自分で稼ぐ」ための財政エンジン)を「日本最大級の「1000億円規模のエンダウメント」 に育成する

九大はすでに

  • エンダウメント型基金を2025年設立予定

  • 資産運用益:3.63億円(2024)

これでは零細すぎる。


8)特効薬6:世界最高水準の若手研究者育成システム

世界ランキングを押し上げる主体は、お金ではなく「人」である。

  • 世界トップ大学から毎年100人規模のPI候補を招聘
  • 博士学生を世界中から大量採用
  • ポスドクを潤沢な資金で支援
  • 研究開始時に大型スタートアップ資金を保証

であることは間違いない。この目標を設定するとすぐに「お金がない」との理由で、たちどころに「無理難題」だとの回答。世界100位以内の大学を見ると、

  • 世界中から優秀な若手研究者が集まる
  • 世界中から博士課程学生が集まる
  • 世界中から大型共同研究が集まる

という「知的人材の磁場」が形成されている。これをアジアに開かれた「知の磁場」とすべきである。

9)特効薬7:「東アジアの学術ハブ」(East Asian Knowledge Area)形成


EUのエラスムス計画が成功した理由は、

  • 学生が自由に移動する
  • 教員も共同研究する
  • 単位が共通化される
  • 博士課程が共同で育成される
  • EU研究費が共同で配分される

こうして「ヨーロッパの学術空間」が形成されたことえあった。

九州大学の役割:日韓版エラスムスプログラムもしくは日韓台版エラスムスプログラムの実現に主導的なリーダーシップ

 福岡ー釜山ーソウルー大邱ー台北ー孝雄ーハノイーバンコックージャカルターシンガポール

というネットワーク形成し、九州大学がそのネットワークのハブにならなければ、世界大学ランキングで100位以内に入るなどはありえない。効果的なのは

共同教育より共同研究

であるので、

第1段階:学生交流

↓

第2段階:共同修士課程

↓

第3段階:共同博士課程

↓

第4段階共同研究センター

↓

第5段階共同ファンド

への道のりを完成させることである。

10)まとめ

 その実現手段として、九大OIPが「研究成果を社会へ循環させるエンジン」を担い、日韓版あるいは日韓台版エラスムス構想が「優秀な人材をアジア全域から引き寄せる知の磁場」を形成する。この二つが相互に連動すれば、九州大学は単なる地方大学ではなく、東アジアの知識・人材・イノベーションが循環する中核拠点へと発展する可能性がある。

一つだけ付け加えるなら、「日韓版エラスムスプログラム」「日韓台版エラスムスプログラム」という枠組みは有力な出発点であるが、将来的にはシンガポールやASEANの主要大学とも連携し、「東アジア・ASEAN高等教育圏(East Asian–ASEAN Higher Education Area)」という構想へ発展させることが、国際的な存在感と持続性の両面でより大きな価値を生み出すと考える。そこまで視野を広げることで、「知の磁場」は地域的なネットワークではなく、世界の優秀な若手研究者を惹きつける国際的な学術エコシステムへと成長することで、必ずや世界大学ランキング100位内に突入するに違いない。


Conclusion

The key to realizing this vision lies in combining two mutually reinforcing strategies. On the one hand, Kyushu University Open Innovation Platform (Kyushu University OIP) should serve as the engine that transforms research outcomes into societal value through innovation, technology transfer, and entrepreneurship. On the other hand, a Japan–Korea Erasmus Program, or preferably a Japan–Korea–Taiwan Erasmus Program, should create a "knowledge magnet" capable of attracting outstanding students and early-career researchers from across Asia. Working in tandem, these two initiatives would enable Kyushu University to evolve from a single institution into a leading hub where knowledge, talent, and innovation circulate throughout East Asia.

As a starting point, the Japan–Korea Erasmus Program or the Japan–Korea–Taiwan Erasmus Program would provide a strong institutional foundation. Looking further ahead, however, this framework should be expanded through partnerships with leading universities in Singapore and across ASEAN, ultimately giving rise to an East Asian–ASEAN Higher Education Area. Such an initiative would generate far greater international visibility and long-term sustainability while fostering deeper academic integration across the region.

By broadening this vision, the proposed "knowledge magnet" would become more than a regional network; it would develop into a global academic ecosystem capable of attracting the world's most talented young researchers, doctoral students, and innovators. Coupled with the Kyushu University OIP, which would continuously translate research excellence into social and economic value, this integrated strategy would establish a virtuous cycle of talent, research, innovation, and investment.

If successfully implemented, this model would not merely strengthen Kyushu University's international competitiveness. It would position the University as Asia's gateway for knowledge and innovation and, in all likelihood, provide the strategic momentum necessary for Kyushu University to enter the Top 100 of the world's university rankings.

2026年7月13日月曜日

九州大学の次のターゲットと、国際卓越研究大学に選ばれなかった構造的理由

 本メモは文部科学省とは全く無縁で、同省の公式見解ではなく、あくまでも個人的で、独断的な見解である。

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前提①東京大学が国際卓越研究大学審査保留から脱落した報道を受けての見解

⇒世間の批判を受けて、「ほとぼり」が冷めるまでの時間の我慢。やはり世界大学ランキングで日本最高である東大が選出されない理由はない。加えて、医学部付属病院の大学本部直轄化は高い評価を受けているはず。残るは、文系学部の改革。形の上だけでは小講座制から大講座制へと移行しただけに、つぎの魅力的なアイディア不足か。京都大学にしても、名称だけの変更で、実質的に小講座制を温存した東京大学でも、何か新規性を打ち出さなくてはなるまい。世の目をだますなどと穏やかでない表現は厳に控えるものの、本稿の提案は、Harvard流の「ダブルディグリー」制導入。

前提②石橋九州大学総長+赤司次期総長体制における方向性の提言

⇒赤司次期総長の方向性が不明確な時点では、あてずっぽうとならざるをえないが、「

前提③地域バランスを考えた戦略   

    東北:1校

    関東:1校

    関西:1校

しかしながら、西日本地域の「1校採択への道」は険しい。

前提④全九州の国立大学再編計画:カリフォルニア大学形式と同様に、九州所在のすべての国立大学を九州大学に統合し、各県に1校ずつ佐賀校・熊本校・長崎校・鹿児島校・宮崎校・大分校を設置する。戦後に開設された駅弁大学方式(東京大学を模倣したミニ・総合デパート式運営)との絶縁と再編、九州全域を一元的にコントロール・統括し、効率的・合理的に運用できる仕組みへの変換。しかし、その時期は完全に逃した。

しかし、2026年熊本地震を契機に、再度枠組みを組み替えて、新しい着想でアイディアを練り直しても面白いかもしれなない

前提⑤「国際卓越研究大学」枠ではなく、次に計画されている「 統合イノベーション戦略2026 」(令和8年7月14日制定、内閣府)に記載された「産業競争力強化研究に資する大学ファンド」(名称未定、仮題)への挑戦と研究分野強化


<参考記事>

17 の戦略分野を中心とする産業競争力強化に貢献する、新技術立国の核と なる新たな大学群の形成に向け、特定分野において特に高い研究力を有し高 度な経営を行う大学を認定し、当該分野における研究開発及び社会実装(研 究環境の整備を含む。)を中長期的に支援する新たな制度の創設を検討す る 。【 文、経】

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観点京都大学九州大学相対的な違い
研究規模・実績世界最高水準の研究力、ノーベル賞受賞者を多数輩出国内有数の研究大学だが、世界的研究実績では東大・京大に及ばない世界トップレベルとの距離
国際性・ネットワーク欧米・アジアを含む世界規模の研究ネットワーク東アジアとの連携が特に強いが、世界的展開では相対的に限定的国際展開の広がり
ブランド・認知度日本を代表する研究大学として世界的認知度が高い国内では高い評価を受ける総合大学国際的ブランド力
制度改革への波及効果日本全体の大学改革を牽引するモデルとして期待地域中核大学としての役割が大きい制度設計上の期待される役割
政策上の位置づけ世界トップレベル研究大学の形成を担う旗艦候補地域の研究・教育拠点として重要な役割を担う政策上の重点の違い


気になる点

1. 制度設計上の「役割の違い」

  • 京大は、文科省にとって 「日本の研究大学を世界トップレベルに押し上げるための“象徴的”」。

  • 九州大学は、 「九州・西日本ブロックの中核として、地域の高等教育・研究・医療・産業を支える“広域中核大学”」。

つまり、 制度設計では、京大のような世界トップレベル研究大学と、九州大学のような地域中核大学とで、期待される役割に違いがあると考えられる。

2. 研究力・国際性の「レベル差」ではなく「スケール差」

九州大学は、

  • 医学・工学・理学・エネルギー・海洋などで世界的に強い

  • アジア連携では非常に高い評価

しかし、国際卓越研究大学の審査は、 「世界ランキング上位10位台を現実的に狙えるか」 というスケール感。

その視点から見ると、

  • 京大:世界トップレベルを目指すことが政策目標

  • 九大:世界トップ100〜200の中核としては強いが、「旗艦」としてのスケールは一段下だとして評価

→ 質の低さではなく、“ターゲットの違い”による選外。

3. 文科省の「大学ファンド」の政治的・象徴的設計

  • 10兆円ファンドは、 「日本にも世界トップ級研究大学がある」と示すための政治的・象徴的プロジェクト。

  • その象徴として、 大学ファンドには、日本の研究力を国際的に示す象徴的な教育政策としての性格もあった

九州大学を入れると、

  • 地域バランスは良くなるが、

  • 「世界トップ10を狙う旗艦」というメッセージがボケる。

→ 政治的・象徴的な“見せ方”の観点から、2校に絞られた。

4. 九州大学に対して文科省が期待している役割

国際卓越研究大学に入れなかったことは、「九州大学への期待が薄い」という意味ではないと判断される。

むしろ文科省は、 

                                           ①九州ブロックの高等教育再編 

②医療

③エネルギー・海洋・アジア連携                                    

の中核地域産業との連携拠点としての役割を、九州大学に強く期待していると考えられないだろうか。

つまり、 九州大学は「国際卓越大学」ではなく、「地域の研究・教育・産業連携を牽引する中核大学 として位置づけられていると、文部科学省の政策的戦略だと推測される可能性が高い。つまり、「

5.「九州大学の将来ビジョン」

もし九州大学が今後、

  • 研究の国際性をさらに拡大し

  • アジア+欧米の両方で強いネットワークを築き

  • 若手研究者の流動性と育成を強化し

  • 地域中核+世界研究拠点の二重構造を確立し、

  • 九州全体を一つの国立大学法人に統合し、例えば米国カリフォルニア大学方式に再編し、バークレー校やUCLAなどに匹敵する世界トップ級の大学への成長の礎を作るならば、

 確実なエビデンスはないものの、「統合イノベーション戦略2026 」(令和8年7月14日 制定、内閣府)に明記された、次世代の制度(ポスト大学ファンドなど)では、九州大学を「第三の旗艦」として位置づける文部科学省戦略の可能性は十分あると考えて良いだろう。


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<参考記事>

「統合イノベーション戦略2026 」(令和8年7月14日 制定、内閣府)

5.産学官を結節するイノベーション・エコシステムの高度化 (1)産学連携の推進・世界で競い成長する大学の実現 (現状認識) 「科学とビジネスの近接化」が進展し、先端的な科学的知見の早期事業化が進 む中、ディープテック分野では企業単独で研究開発や人材確保を進めるのは困 難であり、大学の役割が一層重要となっている。他方、我が国の大学は、研究力 や人材育成、産学連携の規模において国際競争力の低下が指摘されている。こう した状況を踏まえ、産学官が連携し、高い研究力がありイノベーションの中核と なる大学群を形成することが求められている。 (特に重点を置くべき施策)      産学連携の過程で生まれた資金・人材・新たな知を、次の研究力の原資とし て活用し、大学の総合的な研究力を底上げするという好循環を実現するた め、産学共同研究等の支援を通じた産学連携の促進に加え、大学の経営力強 化を一体的に進める。【文、経】 各研究大学における、世界トップレベルの研究拠点や、研究成果の社会実装 に向けた産学官共創拠点等の形成を進め、大学の研究力と経営力の強化を促 進する。【文、経】 17 の戦略分野を中心とする産業競争力強化に貢献する、新技術立国の核と なる新たな大学群の形成に向け、特定分野において特に高い研究力を有し高 度な経営を行う大学を認定し、当該分野における研究開発及び社会実装(研 究環境の整備を含む。)を中長期的に支援する新たな制度の創設を検討す る 。【 文、経】 新しい産学連携の形として、産学が協力して設置・運営する学位の授与を行 う「契約学科」の取組を推進する。【経】 研究開発税制において、産業技術力強化法の一部を改正する法律(令和8年 法律第41号)による改正後の産業技術力強化法(平成12年法律第44号) に基づき、戦略的に重要な技術領域に係る企業の研究開発を促進する「戦略 技術領域型」、また、そのうち、特に高い研究力等を持つ認定研究拠点との 68 オープンイノベーションを促進する「大学拠点等強化類型」を活用し、研究 開発投資を促進する。【経、関係省庁】    J-PEAKS の採択大学において、研究力や経営力の強化を進めつつ、大学間 の連携も促進することで、多様な研究大学群の形成・強化を図る。【文】 大学、国研等が有するイノベーションの源泉である知と社会ニーズとのマッ チングの加速に向けて、産学官共同研究の推進や、研究者と産業界とのマッ チング、専門人材によるハンズオン支援を推進する。【文、経】 大学等発スタートアップが、研究開発等を通じて成長できるよう、スタート アップ・事業会社・大学等の新たなオープンイノベーションを支援する。【文】     大学等発スタートアップが官民からの多くの出資を得て持続的に成長でき るよう、民間資金の呼び水となる官民ファンドからの大学等発スタートアッ プへのフォローオン出資等を推進する。【文】 我が国のオープンイノベーションを促進すべく、今後のロールモデルとして 期待される先導性や独創性の高い取組について表彰等を実施する。【府】 「大学支援フォーラムPEAKS」において、産学官連携によるイノベーショ ンを支える大学経営人材の育成等を産学官で検討する。【府】 民間企業から地方公共団体への寄附を通じた大学・研究機関への研究資金の 確保の方法として、共同研究を行う際の留意事項を明確化したことも踏ま え、企業版ふるさと納税の更なる活用促進等を図る。【官房】

京都大学が国際卓越研究大学に選出された理由

 京都大学が選ばれた「決定的特徴」

文科省の審査資料・答申を構造化すると、京大の強みは次の5点に集約できよう。


① 世界トップレベルの研究力(特に自然科学)

  • ノーベル賞受賞者数:日本最多(13名)

  • 生命科学・化学・物理学・数学で世界的評価

  • 基礎研究の強さが突出

  • 「自由な学風」が研究者の独創性を支える

→ 文科省は「世界トップ10を狙える研究力」と評価。


② 独創的な研究文化(自由・自律・分散型)

京大の学風は、文科省の審査で特に高く評価された。

  • 「自由の学風」

  • 研究者主導の分散型研究組織

  • ボトムアップ型の研究テーマ形成

  • 学問の独立性を重視

→ 東大の「組織力」と対照的に、京大の“独創性の強さ”を高く評価。


③ 国際的研究ネットワークの強さ

  • 海外大学との共同研究数:国内トップクラス

  • アジア・欧米の研究機関との連携が深い

  • 研究者の国際移動が活発

  • 英語論文の被引用数が高い

→ 文科省は「国際卓越大学の条件=国際共同研究の強さ」と明言。


④ 大学院中心の研究大学モデルが確立

京都大学は学部よりも大学院・研究科の比重が大きい。

  • 大学院生比率が高い

  • 研究科の独立性が強い

  • 研究者養成の体系が成熟

  • 若手研究者の育成力が高い

→ 文科省は「大学院中心の研究大学」へとシフト済み。


⑤ 研究成果の社会実装力(特に工学・生命科学)

  • iPS細胞研究

  • 触媒化学

  • AI・数理科学

  • 医工連携

  • ベンチャー創出(京大発ベンチャーは国内トップ級)

→ 「基礎研究 → 応用 → 社会実装」の流れが強い。

→世界のiPS研究ネットワークの中心に位置する、山中伸弥先生のiPS研究所(CiRA)の傑出した研究情報発信力に代表されるように、京都大学のいくつかの研究拠点が世界的レベルでネットワークの核となっている。



しかしながら、一つの懸念は、文系学部である。

今回にしても、


>>京都大学は、教授を頂点に准教授や助教らが連なる約1000の「小講座」(.研究室)を廃止して研究分野別の「デパートメント制」に移行し、その研究力を基盤とした「学位プログラム制」の導入に基づく新たな教育システムの構築する


教授を頂点に准教授や助教らが連なる約1000の「小講座」を解体し、研究領域ごとに約20に分けた大きな組織「デパートメント」に再編する。29年4月に全学的に移行する。


と言う。しかしながら、かつて文系学部の「小講座制から大講座制への」移行にしても、名目だけ小講座名を消滅させたが、実質的に何も変化なく、講座費運用や教育システム、教員人事まですべてに、今日まで小講座が機能してきた。彼らが言う「オレンジジュースを飲みたい👦が、なぜミックスジュースにしなくてはならないか❗️」 と。

これでは、国際卓越研究大学構想も、文系学部は理系学部が奪取してくる膨大な予算の少々をヌクヌクと吸い取るだけ。

彼らの呪文は「〜〜とあり、とありで、30年」。


追記]

科学技術振興機構によると、国際卓越研究大学への助成などに使用される10兆円規模の大学ファンドが2025年度、過去最高となる3,158億円の黒字を達成したと言う。

 海外株式や債券の運用が好調で、国際卓越研究大学に認定されている東北大学に169億円、東京科学大学に124億円が助成され、京都大学には約200億円程度が交付されるようだ。



2026年7月12日日曜日

40年までに私大を250~400校、入学定員を14万人程度減らす案

 財務省の資料によると、18歳人口は1989年の198万人をピークに、24年は6割弱まで減っている。一方で国公立大を含む大学数は1989年の499校から増え続け、2024年には813校に。学生10万人当たりの高等教育機関の数は他国と比べても特に多く、同省は大学数の適正化を訴える。


<分析>

2026年4月、財務省の財政制度等審議会において提示された、2040年までに私立大学を約250校削減し、学部定員を14万〜18万人程度削減するという提言は、日本の高等教育のあり方に大きな波紋を呼んでいる。

この提言の主なポイントと背景は以下の通り。


提言の背景と理由

 18歳人口の激減: 1992年に約205万人だった18歳人口は、2040年には約74万人まで減少すると推計されている。


 大学の過剰供給: 少子化が進む一方で、過去の規制緩和等により大学数は増加し続けました。現在、私立大学の5割以上が定員割れに陥っており、経営環境が極めて厳しくなっている。

 教育の質への疑問: 財務省の資料では、一部の定員割れ大学において「四則演算」や「be動詞の活用」といった義務教育レベルの内容が講義されている現状を指摘し、公的資金(私学助成金)の投資に見合う教育の質が確保されているか疑問視。


議論の焦点

 数値目標の是非: 財務省が「4割削減」という具体的な数値目標を初めて提示したことに対し、文部科学省側は「機械的に定員割れのみで判断するのではなく、地域産業や医療・福祉を支える大学の機能、分野や地域のバランスを考慮した再編が必要」と強調している。

 出口戦略: 単なる閉校ではなく、大学の円滑な撤退や合併、事業譲渡などを可能にする仕組み作りや、経営体力がある段階での退出を促す方策が検討されている。


 成長分野へのリバランス: AIや半導体など、将来的な成長が見込まれる分野や地域課題の解決に資する大学・学科へ重点的に支援を行い、教育の質と人材育成機能を維持する方向性が模索されている。


今後の展望

文部科学省も「高等教育の規模適正化は避けられない」との認識を示しており、今後は補助金の交付におけるメリハリを強めることで、実質的な大学の淘汰と再編が進むと考えられる。

私立大学250校削減の背景と財務省案


<今後の課題>

  • 大学設置および廃校の許認可権を有する文科省は、財務省と異なり、大学数削減を明言しないため、独自の政策が曖昧。

  • 地方大学の撤退後の地域対策がないために、その空白をいかにするのか。

  • 質保証基準が曖昧で、淘汰が市場任せ。難問であるが、その質保証分野への切り込みなくして、教育質が高く、さらに通学生たちの評価の高い大学を維持できない。

  • 国立大学の統合は箱だけで、機能統合が進まない。

→ 改善策は、質保証の数値化・地域ブロック再編・国立大学の機能別再編・私学再編ファンドの創設。